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2012年9月

2012年9月19日 (水)

中国の「反日」に報いるには

日本政府が尖閣列島を国有化したことについて、中国では大規模な反日運動が起きています。

 

中国全土で反日デモが起き、日本企業の工場や日本レストランが破壊され、日系のデパートでは商品が略奪されました。

当初は中国政府も黙認状態で官製デモの雰囲気もあったようですが、すぐにデモ隊は暴徒化し、政府は規制に乗り出していますが、デモ隊は「愛国無罪(愛国心から発した行動は何をしても無罪)」を盾にしてやりたい放題の状態のようです。

デモが暴徒化する背景には、現在の中国の貧富の格差や体制に対する不満などがあります。「反日」はいつ「反政府」に変わるかもしれないという危うさがあります。

 

日本製品のボイコットを容認するような政府高官の発言や、尖閣に向けて1000隻の漁船を出し、公船で護衛をするような強硬姿勢も、日本に対して弱腰な態度を見せたら、国民の「反日」があっという間に「反政府」に転換してしまうかもしれないという中国政府の怖れがあるからでしょう。

いまの中国政府には民衆を止める気はないし、またその力もありません。

 

日本政府の国有化のタイミングも最悪でした。

APEC(アジア太平洋経済協力会議)で、胡錦濤主席が野田佳彦首相に「国有化反対」を強く訴えたのは99日、そのわずか二日後の911日に野田首相は尖閣諸島を地権者から205千万円で買い取る閣議決定したのです。

 

野田首相としては、石原知事にこのまま買われては面目丸潰れになると考えたのかもしれません。さらに中国に対しても、「(東京都に買わせないで)国が買ってこのまま何も作りませんよ」というメッセージのつもりだったのでしょう。

しかし、国有化するというメッセージは中国政府に事前にきちんと伝えられていなかったようです。そのため、中国は激しく反発しました。

 

尖閣は日本の領土というのは自明のことなのですが、東京都が買うといっていたのですから、無理に横やりを入れず成り行きを見守っていればいいのに、人気取りなのかなんなのか、変な動きをして事態を悪化させてしまったのです。

 

 

今回中国人のデモ隊に襲われて被害を受けたパナソニックの関連工場は、小平氏に乞われて1989年に中国に進出した日本企業の先駆け的存在でした。

中国に進出した企業は、現地の安定的な雇用や環境への取り組み、奨学金の援助など、さまざまな形で中国に貢献し、根を張っていたのですが、そのような友好関係も今回の暴動で根こそぎ壊されてしまいました。

 

現地の日本人が危害を加えられたり、工場や店の打ち壊しにあったりしているという状況をこのまま見過ごすことはできません。

野田首相は、「中国で起きた破壊活動による損害は中国に責任がある」と言っていますが、言うだけで済ますことはできません。一体これだけ大きな被害が起きてその保証をどうするのか。「中国の責任だから日本政府は知りません」では済まない問題でしょう。

中国政府にきちんとした対応を求めるとともに、日本政府としても現地で被害にあった企業をどうサポートするか真剣に考えるべきでしょう。

 

報道では、中国は反日で燃え上がっているように伝えられていますが、この状況に批判的な中国の人々もいることを忘れてはいけません。

中国では他国の国旗を燃やしたり、つばを吐きかけたりするような侮辱的な行為を法律で禁じてはいないようですが(五星紅旗は別)、それでもそのようなことを「恥ずかしい」とネットで表明する人々は存在します。

また、「このような状態になっても日本に居る中国人が嫌がらせをされていないのは驚きだ」という書き込みもあったそうです。

反日デモで暴れたリ略奪をしている人々は、己の行為で中国という国の品位を汚し、中国がいかに未熟な国であるか、国の恥を世界中に発信しているのです。

まさに「愛国」の正反対に位置する所行です。

 

中国政府の発言や在留日本人に対する仕打ちに関する報道に接するたびに身内から震えるような怒りを感じます。

日本でも一部の人が怒りに任せて嫌がらせなどをしているようですが、むしろこんなときだからこそ日本に居る中国の人々に対して「寛容」を示すことが、最も痛烈な中国への批判になるのではないかと考えます。

国として、領土問題には厳しく対峙しながらも企業や個人間の友好のパイプは失わないようにしたいものです。

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